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前回、『星の王子さま』が教えてくれた大切な真理、

「肝心なことは、目に見えない」

というキツネの言葉に深く心を揺さぶられた方は少なくないでしょう。

私たちもまた、日々を過ごす中で、本当に価値あるものや、心の奥底にある真実というものは、形として捉えにくいものだと感じることがありますよね。

そして、その「見えないところに真実がある」という世界観は、愛すべき私たちの日本の詩人、金子みすゞの詩にも確かに息づいています。

彼女の作品は、まさに『星の王子さま』が教えてくれるように、私たちが見過ごしがちな小さなものや、日常の裏側に隠された、温かくも深い真実をそっと示してくれるのです。

今回は、金子みすゞの詩を通して、再び「見えないものの大切さ」について、一緒に考えていきましょう。


🔸金子みすゞが見つめた「見えない真実」

金子みすゞの詩が心を打つのは、彼女が当たり前の風景の中に、私たちが見過ごしがちな、しかしかけがえのない真実を見出す名人だったからでしょう。

雨上がりの水たまりに映る空、夜空に瞬く星、道端にひっそり咲く草花、そして虫たちの小さな営み――。

彼女はそれらの「見えない」部分、つまりその存在の奥に宿る意味や感情に、そっと光を当てました。

確かに、私が毎朝の日の出さんぽで体験する、日の出前後の幻想的な空が毎日違う表情を見せたり、散歩道で目にするあらゆる植物が刻々と姿を変えていき、田畑にいたりや飛んでいる鳥たちに目を向ける自分がいていろんなことをそこから考えてみたりしてその力強いエネルギーを感じたりすること。

また、毎日会う猫たちの間に見えてくる、彼らなりの秩序や関係性もまた、日々の観察があって初めて気づくことのできる「見えない真実」ですよね。

物理的に小さかったり、すぐに消え去ってしまったりするからこそ、私たちはそれらの存在に意識を向ける機会が少ないものです。

しかし、みすゞはそこに無限の物語や感情を読み取り、私たちに「ちょっと立ち止まって見てごらん?」と語りかけてきます。

彼女の詩を読むと、私たち自身の心が「見えない真実」を探す探検家になるような感覚を覚えます。


🔸共感のまなざしが紡ぐ詩

みすゞの詩の世界では、人間だけでなく、動物、植物、さらには無機物にいたるまで、あらゆるものが語り手となり、感情を持つ存在として描かれます。

これは、彼女が対象の視点に立って世界を捉えようとする、深い共感のまなざしを持っていた証拠です。

例えば、漁師がたくさんの魚を獲って喜ぶ姿を描いた詩『大漁』では、その裏側で、海の中で命を落とした魚たちの視点に立って「海の底では、お祭りをする、浦島さんと、龍宮と」と静かに歌います。

これは、目に見える「豊漁」の影に隠された「見えない命の犠牲」という真実を浮き彫りにしています。

このように、彼女は一つの事柄に対する多様な視点を提示することで、物事の多面性、そして表面だけではない深層にある真実を教えてくれます。


🔸「みんなちがって、みんないい。」に込められた真実

金子みすゞの詩で最も有名なフレー作の一つに

「みんなちがって、みんないい。」

という言葉があります。

これは、彼女の代表作『私と小鳥とすずと』の一節です。

この言葉は、外見や能力、社会的な評価といった「見える」ものだけでは測れない、それぞれの存在が持つ固有の価値、すなわち「見えない」内面の美しさや真実を認め、尊重する彼女の哲学を凝縮しています。

私たちは、つい他人と自分を比較してしまいがちですが、みすゞは、一人ひとりが持つかけがえのない個性や役割こそが、真の輝きだと教えてくれます。

それは、他者には見えにくいかもしれないけれど、確実にそこにある、それぞれの「真実の光」なのです。


🔸心の目で世界を見つめる

金子みすゞの詩を読むたび、私たちは、普段どれだけ多くの大切なものを見過ごしているかに気づかされます。

彼女の詩は、私たちに「心の目を開いて世界を見る」ことの重要性を教えてくれます。

それは、『星の王子さま』のキツネが王子さまに語りかけた、

「肝心なことは、目に見えないんだ」

という言葉と、まさに響き合います。

金子みすゞの詩は、特別な場所や出来事の中に真実があるのではなく、私たちのすぐそばにある、ありふれた日常の中にこそ、見えないけれど温かく光る真実が隠されていることを思い出させてくれるのです。

私たちも、みすゞのように、日々の小さな出来事や、さりげないものの中に、あなただけの「見えない真実」を探してみてはいかがでしょうか。

そうすれば、きっと世界はもっと豊かな色彩を帯びて見えるはずです。

見えなかったものが見えてくる!

新しいあなたが始まると!