その「了解です」が地雷かも?
もう迷わない! 「了解しました」と「承知いたしました」のやさしい使い分けガイド
こんにちは。発酵料理研究家の渡辺貴子です。
……と名乗りながら、今日は料理でも発酵でもなく「ことば」のお話をします。
はじめに――まず押さえたい二つの返事
家族とのLINE、PTAのグループチャット、ネット通販の問い合わせ……。
相手の依頼や連絡に「わかりました」と返したい場面は毎日ありますよね。
そんなとき私たちがよく使う
- 了解しました
- 承知いたしました
――この二語は、聞こえは似ていても実はまったく別物です。
どこが違うのかを知らないままだと、「軽く扱われた」「よそよそしい」と受け取られることもあるので、まずは特徴と使いどころをしっかり掴んでおきましょう。
1.「了解しました」――フラットな関係で気軽に
「了解」は「事情を理解して納得した」という意味。
敬語としては丁寧語のレベルで、相手を特別に立てるニュアンスは薄めです。仲間内や同世代とのやり取りにぴったり。
たとえば友人から「集合は11時ね」と言われたら
「了解しました。遅れないように行くね」で十分。
PTAの同じ学年の保護者に「写真共有ありがとう」と言われたときも
「了解しました。ダウンロードします」で自然な印象になります。
注意したいのは、さらにラフな「了解です」。年長者や公式な場で使うと「軽い返事」と受け取られやすいので気をつけましょう。
2.「承知いたしました」――年長者やフォーマルな場面で安心
「承知」には「依頼を謹んで受けとめる」「事情を心得る」といった謙遜のニュアンスが含まれています。
そこに謙譲語「いたす」と丁寧語「ました」が加わり、相手を立てる気持ちがはっきり伝わる表現になります。
祖父母から「今度の日曜日に顔を見せてくれる?」と言われたら
「承知いたしました。楽しみにしています」。
習い事の先生から「来週は課題曲が変わりますよ」と言われたら
「承知いたしました。練習しておきます」。
改まった依頼や年長者への返事で迷ったら、まず「承知いたしました」を選べば間違いありません。ただし友人相手に多用すると「他人行儀」と感じさせることもあるので、場に合わせて使い分けましょう。
二語の違いをもう一度整理
- 了解しました … 「内容を理解し確認しました」というフラットな丁寧語。仲間内や同世代との連絡に最適。
- 承知いたしました … 「謹んで承ります」というニュアンスが強い謙譲+丁寧表現。年長者や公式の場面で安心。
この違いを意識しているだけで、日常のほとんどのやり取りがスムーズに進みます。
3.「わかりました」と「かしこまりました」も覚えておこう
「わかりました」――中立でやわらかい定番フレーズ
「わかる」の丁寧語で、敬意とカジュアルさのバランスがちょうど中間。
「了解しました」と同程度の丁寧語であり、ややカジュアルな印象を与えます。
同僚や目下の人、親しい先輩などに適した表現です。
コンビニで「こちら温めますか?」と聞かれたときに「わかりました、大丈夫です」と答えるような、ほどよい親しみと丁寧さを出したい場面で活躍します。ただしフォーマルな席では軽く感じる人もいるため注意しましょう。
「かしこまりました」――迷ったらこれ! 最敬語に近い万能ワード
「かしこまる」は“身をかしこめる(=謹む)”という意味で、最敬語に近い表現。
宅配便の再配達依頼やレストランの予約変更など、対面サービスの定番フレーズです。
例:宅配業者に「配達時間を変更します」と言われたら「かしこまりました。午前中にお願いいたします。」
ただし友人同士で使うと「距離を置かれた?」と感じさせることがあるので要注意。
シーン別・おすすめフレーズの覚え方
- 兄弟や友達とのチャット → 「了解しました」「わかりました」
- 年配のご近所さんや学校の先生 → 「承知いたしました」
- 電話や窓口・宅配などの対面サービス → 「かしこまりました」
- ネット通販の発送連絡や予約変更の確認 → 「了承しました」
おわりに――言葉一つで、気持ちよい毎日を
LINEのスタンプ一つで空気が変わるように、返事の言葉選びも人間関係をふんわり温かくしてくれます。
- フラットな関係なら「了解しました」や「わかりました」。
- 丁寧に寄り添いたいときは「承知いたしました」。
- 迷ったら「かしこまりました」でまず安心。
これさえ覚えておけば、もう返事に悩むことはありません。
料理の世界でも「ひと手間」で味が変わるように、ことばのひと工夫で毎日をもっと心地よく——。
渡辺貴子でした。それでは、また。
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